2026/8/2、鹿嶋市教育委員会主催の歴史文化講座「御船祭」を学ぶを受講し、少し編集、加筆しました。講師は、鹿島神宮職員で文化研究所長の大津忠男先生。御座船にも乗ったことのある大津先生のお話が主な加筆事項です。
今年は12年に一度のお祭り、鹿島神宮式年大祭「御船祭」が開催される年です。御船祭は「おふね」じゃなくて「みふね」ですよ。
鹿島神宮最大の祭典であり、その壮麗さと規模共に水上祭としては国内最古かつ最大の規模と華麗さを誇ります。なんと、2000年以上前から伝わる悠久の伝統神事なのです。
何時にどこで見学できるか、御船祭のタイムスケジュールと撮影ポイントなど書いてみます。
目次
御船祭りのルートと見学のポイント
鹿島神宮から大船津、潮来で折り返して同じルートを戻ってきます。
ルート
- 陸上渡御
鹿島神宮〜大船津
- 水上渡御
大船津〜鰐川〜外浪逆浦(そとなさかうら)〜常陸利根川(ひたちとねがわ)
潮来加藤洲(対岸に潮来ホテルがあります)が折り返し地点です。
見学のポイント
- 鹿島神宮 大鳥居前〜参道
陸上渡御 鹿島神宮付近で出発と到着を見学。
- ホテルがんけ交差点
陸上渡御
- 鹿島小坂下
陸上渡御
- 大船津
水上渡御 船の出発と到着を見るならここ。ただし、水上鳥居付近は関係者だけで2000人いるので、一般客は近づけない。後方から見るか、もしくは少し離れた土手で船を待つのがよさそう。
- 鰐川橋(わにがわばし)
水上渡御 船を前から撮影するならここ。橋の両側に歩道があります。橋の近くに駐車場付きの公園があります。
- 常陸利根川橋(ひたちとねがわばし)
水上渡御 高速道路の下にを歩行者や自転車で川を渡ることができます。ただし、周辺に駐車場はありません。
- 常陸利根川河岸
水上渡御 いわゆる土手ですね。常陸利根川に沿って、どこか空いてそうな土手で見るのが最も安全です。
- 加藤洲斎杭
水上渡御 折り返し地点。潮来ホテルの対岸に鹿島神宮の神様が乗った御座船が到着します。でも、一般客は御座船の中の様子は見られません。
- 潮来船着場河岸
水上渡御 折り返し地点。ちょうど潮来ホテルの前あたりです。ここはホテルの宿泊客はもちろん、110艘の船に乗っているおよそ1600人の方たちが一度下船して、お昼休憩をするので混み合います!混み合いますが、お祭りが開催されて賑わいます。
<参考>東関東自動車道「潮来IC」からすぐの常陸利根川橋。ふもとに歩道がある。
タイムスケジュール
2026/9/1(火)提灯まち、神幸祭
翌日の御船祭を前に、大船津にはたくさんの船が並びます。
10:00 勅使参向例祭(ちょくしさんこうれいさい)
鹿島神宮 御本殿において行います。6年に一度の天皇陛下の御名代(みなしろ/ごみょうだい)勅使が参向する例祭です。
御名代とは
天皇や皇族の名代を敬った言葉、または皇族の代理(御名代)という意味の言葉です。歴史上の古い制度としての意味と、式典などの代理としての意味の2つがあります。
18:30 提灯まち(ちょうちんまち)
御神祭の道行きを照らす提灯を奉納する行事です。無数の提灯を付けた青竹を、威勢よく揺らしながら練り歩き、大篝火(おおかがりび)に奉納する伝統神事です。
提灯まちは毎年9/1の夕刻に開催される鹿島の夏祭りで、山車や神輿の巡行でとても賑やかです。参道には出店もたくさん並びます。
お祭りの終盤には、鹿島神宮の駐車場で勢いよく燃える青竹の周りを、ぐるぐると全速力で走る氏子たちの迫力がすごいです!けっこう煤が飛ぶので、見学する方は汚れてもいい服装で。
20:00 神幸祭(しんこうさい)
御神輿が町内を渡御し行宮に着輿。鹿島神宮の楼門前に造られる行宮(あんぐう)で一晩過ごされます。若い神職さんが徹夜でお守りするそうです。
2026/9/2(水)御船祭
御船祭当日は、前日まで山道に並んだ屋台もなくなります。というのも、山道を2,000人以上で陸上行列し、その中には馬も含まれるので、なるべくトラブルを避けるためと聞きました。鹿島神宮から大船津までは通行止めになります。陸上行列について歩くか、もしくは大船津で待っていてもよさそうです。
8:00 行宮御発輿祭(あんぐうごはつよさい)
行宮(あんぐう)より発輿(出発)する祭典です。2,000人以上で陸上行列を組み、鹿島神宮から約2km先の大船津へ向けて神幸します。大船津までは交通規制が敷かれ、歩行者専用となります。
一般客もこの行列について、徒歩で大船津へ。
神幸(しんこう)とは
鹿島神宮の神様 武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)が鹿島神宮から外へ出ること、神輿(みこし)に乗って地域を練り歩くことです。
9:30 御発船祭(ごはっせんさい)
大船津大鳥居下(西の一之鳥居 / 水上鳥居)にて執り行う祭典です。御神輿(おみこし)を御座船(ござぶね)へ奉戴し、大船津から発船します。この御座船には鹿島神宮の神様が乗っています!
御船祭の最大の見どころは船上渡御。一般客も土手の歩道を歩きながら、大船津から発船した船の様子を見ることができます。船よりも先回りして、鰐川橋、常陸利根川橋、加藤洲で撮影、見学するのもおすすめです。
2026/7/15の大船津。大体みなさんこの土手から見守ります。
12:00 香取神宮御迎祭(かとりじんぐう おむかえさい)
香取神宮のお迎えの船がやってきます。香取市加藤州(かとうず)の御斎坑(おさいぐい)にて、香取神宮神職によって斎行される祭典です。
船に乗っていた方たちもいったん陸に上がって、お昼ごはんの休憩です。
斎杭(さいぐい/いみぐい)とは
幣(ぬさ)をかけたり神を迎えるために、けがれを払って清めて立てる神聖な杭のことです。香取市加藤洲の水上に立てられ、御座船が到着する重要な目印となります。
13:30 潮来河岸発船祭(いたこかし はっせんさい)
香取市加藤州の対岸、潮来河岸から大船津へ向けて発船。
15:00 御着船祭(ごちゃくせんさい)
大船津に着船の後、斎行される祭典です。再び陸上行列を組み、町内を渡御(とぎょ)します。
渡御とは
渡御(とぎょ/とぎょう)とは、神社のお祭りなどで、神様(ご神霊)が神輿や船などに乗ってお出ましになり、氏子地域や御旅所へ巡幸されることです。主に「陸渡御(おかとぎょ)」や「船渡御(ふなとぎょ)」などの形式があります。
16:30 行宮御着輿祭(あんぐうごちゃくよさい)
2026/9/3(木)
駐車場について
9/2の御船祭当日は、鹿島神宮周辺に自家用車で入ることは極めて困難です。通常、鹿島神宮参拝で使用される宮中地区駐車場、鹿嶋市商工会前の駐車場も、参列関係者専用になります。
では、一般客はどうしたらいいの?ということで、鹿島市商工観光課に聞きに行ったところ、無料巡回バスが出るとのこと。、約10分間隔での運転だそうです。
9/2 御船祭当日の巡回バス
- カシマスタジアム 駐車場利用可
- 鹿島神宮駅
- 大船津
大船津で船を見送るのが10:00頃。14:00過ぎに船が戻ってくるまで、やはり船を見に行きたいですよね。でも、見学ポイントに駐車場があるかといえば、ないんですよ!私有地や公有地なので、橋の上から見学している方はいったいどこに駐車しているんでしょうね。それを関係者の方に聞くと、ごにょごにょ(略)。
御船祭りの疑問いろいろ
水上渡御について
- 船は何艘出るの?
-
110艘出ます! 供奉員(ぐぶいん)は約2000人、乗船するのはそのうち1600人です。誰がどの船に乗るのかはあらかじめ決められており、1番〜110番までの番号札を目印に乗船します。
- 鹿島神宮の神様が乗る御座船
- 供奉員が乗る供奉船が96艘
- 警備艇が13艘
供奉員(ぐぶいん)とは、鹿島神宮の関係者のことです。
- 水上渡御は何時間くらいかかる?
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9:30に大船津から船が出て、15:00に大船津に戻るので、約5時間半ほどです。
- 水上渡御はどれくらいの距離がありますか?
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船は鹿嶋の大船津を出て、潮来の加藤洲斎杭で折り返して戻ってきます。片道約11.7km、往復約24kmあります。
- 折り返し地点の加藤洲斎杭では何が行われるの?
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川の南側、加藤洲斎杭があるのは千葉県香取市です。鹿島神宮の神様が乗った御座船は、この千葉県側に到着し、ここに香取神宮のお迎えの船がやってきます。
御座船に香取神宮の宮司さんが乗り込み、祝詞をあげます。鹿島神宮の船に鹿島神宮の宮司さんが乗って神様にごあいさつ申し上げるというのは、とても珍しいことです。それだけ、鹿島神宮と香取神宮が近い存在であり、共に日本の天下泰平を願ってきたということです。
川の北側は茨城県潮来市。香取神宮御迎祭が川の南側、千葉県側で行われるのがポイントです。御座船では、巫女舞もあります。本当の巫女さんではなく、12歳の女の子4人が選ばれるそうです。
- 大船津を出発した船は霞ヶ浦に着きますか?
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着きません!大船津がある北浦を出発し、鰐川を通り、外浪逆浦(そとなさかうら)から常陸利根川(ひたちとねがわ)に入ります。潮来駅近くにある加藤洲が折り返し地点です。
- 加藤洲の目印はどのあたりですか?
-
潮来駅から川に向かって歩くとすぐ「潮来ホテル」が見えてきます。ちょうどホテルの前あたりで香取神宮御迎祭が行われます。
川の南側、加藤洲斎杭に御座船が到着します。川の北側、潮来ホテルの前あたりでは、鹿島神宮にご縁のある神社からやってきた方たちが踊りを踊ったりするようです。
- 2000年も前から御船祭の船はこんなに豪華だったの?
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龍頭の豪華な御座船は、1990年に1回目、2002年に2回目、2014年が3回目、そして今年2026年は4回目です。その前は、双胴船といって、2つの漁船を隣り合わせにし、その上に鹿島神宮の神様が乗る屋形を作っていたそうです。
- 橋の上から神様の乗った御座船を見下ろすのは失礼じゃない?
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橋の上から見学していると、御座船に乗っている鹿島神宮の方が、榊を持ってお祓いする様子が見られると思います。ちゃんとお祓いしてくれているので大丈夫だそう。
- 鹿島神宮の神様を前に、どんな祝詞をあげているの?
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祝詞には、「神代の真似毘(かみよのまねび)」という一節があります。これは、「神話の時代(神代)に行われた神々の事跡を、そのまま忠実に再現していますよ」という神様への報告の意味だそうです。
- 根三田地区の献餅(けんぺい)とはなんですか?
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香取神宮御迎祭を終え、大船津へと戻る御座船に対し、鹿嶋市の根三田(ねさんだ)地区の氏子衆が船を出して追走し、御祭神(武甕槌大神)へ献餅します。立派な鏡餅を船の上で直接手渡しで奉納(献餅)するのです!
水郷地域ならではの深い信仰を象徴する儀式で、地域の人々が神への感謝と祈りを直接捧げる、結びつきの強い古式として今に伝えられています。船のお祭りでお餅のお供えとはおもしろいですね。
根三田地区の献餅の様子(鹿島神宮Xより引用)
陸上渡御について
- 鹿島神宮から大船津まで、どのくらいありますか?歩けますか?
-
陸上渡御は約2km、往復歩くと4kmちょっとあります。歩ける距離ですが、帰りは坂道があります!
- 2000人の陸上行列は、大船津にどのくらいで到着しますか?
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12年前、鹿島神宮を8:00に出発する行列の先頭が大船津に到着したのは9:18だったそうです。鹿島神宮から大船津まで約2.1kmを、ゆっくりゆっくり歩いて1:18かかったということです。
その頃、2000人の陸上行列の最後尾は鹿島神宮の参道を抜けて、宮中交番あたりにいたそうです。
- 2000人の陸上行列、鹿島神宮の神様は先頭ですか?最後尾は誰ですか?
-
先頭ではありません。ちょうど真ん中くらい、お神輿に乗っています。御神輿の前に2つの大きな旗がやってきます。
- 左の旗:「六師雷震(りくしらいしん)」… 大軍が雷のように激しく鳴り響いて進撃することを意味します。
- 右の旗:「三軍電逝(りくしらいしん)」… 強力な大軍が電光(稲妻)のように猛スピードで瞬く間に攻め滅ぼされる、または一瞬で消え去る様子を意味します。
つまり、この2つの旗は「これから国を守ってくださる強い神様がいらっしゃるぞ!」という合図です。ちなみに、お神輿は本殿と同じ造りになっていて、ずっしり重たいそうです。
救護車のバスが来たら「あ、最後尾だな」とわかります。
- お神輿は「わっしょい!わっしょい!」と賑やかですか?
-
鹿島神宮の神様を乗せた御神輿は、静々と移動していきます。決して、「わっしょい!わっしょい!」はやりません。
御船祭について
- 12年に一度の御船祭ですが、午年以外に行われたことは過去にありますか?
-
実はあるんです。大規模な御船祭を毎年開催するのは大変だということで、12年に一度の式年大祭になったのは、明治20年(1879年)のことです。それにしても、戦争中も御船祭は開催されていたんですね。
| 年 | 西暦 | 干支 | 主な出来事 |
|---|
| 明治3年 | 1870 | 午(うま) | |
| 明治6年 | 1873 | 酉(とり) | |
| 明治7年 | 1874 | 戌(いぬ) | |
| 明治12年 | 1879 | 卯(うさぎ) | |
| 明治15年 | 1882 | 午 | 明治20年に、12年に一度の式年大祭に決定 |
| 明治27年 | 1894 | 午 | 日清戦争 |
| 明治39年 | 1906 | 午 | 日露戦争 |
- 香取神宮にも御船祭があるの?
-
あります。香取神宮の「御船祭」は、正式には12年に一度の午年に斎行される「式年神幸祭」で、直近では2026年4月15日〜16日に盛大に執り行われました。鎌倉時代から800年以上の歴史を持つ、経津主大神の東国平定に由来する壮麗な神事です。
- 香取神宮の御座船は、鳥のように見えます。
-
鷁首(げきしゅ)といって、中国の想像上の水鳥「鷁(げき)」がモチーフになっています。鷁は「風波に強く、大空を翔る霊鳥」とされており、航海の安全を願う意味が込められています。
鹿島は龍頭、香取は鷁首です。
- 御船祭はなんのために行われているのですか?
-
鹿島神宮の神様は単なる一地域の神社ではなく、「日本国全体の不干退転(国家滅亡を防ぐ)の根本神」として位置づけられています。そのため御船祭は、国家の「守護神」たる鹿島神宮が天下泰平を願うお祭りとも言えます。
「秋津洲之鎮守根本之霊神(あきつしまのちんじゅこんぽんのれいじん)」という言葉があります。これは、鹿島神宮の祭神「武甕槌大神(タケミカヅチノオオカミ)」を指しています。
- 秋津洲(あきつしま): 日本の古い美称(大日本豊秋津洲)。
- 鎮守(ちんじゅ): 国や土地を鎮め守る神様のこと。
- 根本之霊神(こんぽんのれいじん): 万物の根源であり、もっとも強い霊力を持つ神という意味です。
これはつまり、鹿島神宮の祭神「武甕槌大神」は、日本(秋津洲)の国全体を護るもっとも根源的な神様という意味です。
平成14年(2002年)御船祭の様子
御船祭を記念して造られたお酒
鹿島神宮の献上酒は潮来市の愛友酒造さんが造っています。この地域で唯一残る老舗酒蔵で、今年で創業222年です。御船祭を記念したお酒が発売中です。記念にぜひどうぞ!
兵庫県産山田錦を贅沢に使用した純米大吟醸「御船祭」と、鹿島神宮献上酒 「神の池」の2本セットです。「神の池」は、鹿島神宮内みたらしの池名水仕込みのお酒です。懐かしい甚吉袋(じんきちぶくろ)入り。
(家主がお酒のポスターデザインやオンラインショップなど、お手伝いしています。買ってください!)
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